タルトに用いる生地はシュクレ生地とサブレ生地とブリゼ生地(フォンセ生地)の3種類があります。それぞれのタルト生地の特徴を説明します。
シュクレ生地の特徴
シュクレ生地(Pâte sucrée)は砂糖とバターをすり混ぜてクリーム状にして、卵を加えて小麦粉を混ぜてつくる生地です。シュクレ(sucrée)とはフランス語で「砂糖の」を意味します。
シュクレ生地=バター+砂糖→卵→小麦粉
小麦粉を加える前に卵やバターを合わせるため、小麦粉との結びつきが弱くなり、ほかの生地に比べるともろくなります。また、生地の密度が高くなり、サクサクとした食感が特徴です。
サブレ生地の特徴
サブレ生地(Pâte sablée)は小麦粉に砂糖を混ぜて、冷たいバターを加えてすり混ぜてポロポロな生地にして、最後に卵を加えてまとめてつくる生地です。サブレ(sablée)とは「砂の」という意味で、ざらざらとした砂のような食感がするためこのように呼ばれています。
サブレ生地=小麦粉+砂糖+バター→卵
最初にバターと小麦粉を合わせるため、グルテンの発生が抑えられ生地同士のつながりが弱くなります。そのため、食感はサクサクととしてもろくなります。加える水分が少ないため、ざらざらとした食感にもなります。
ブリゼ生地/フォンセ生地の特徴
ブリゼ生地は小麦粉に冷たいバターをすり混ぜて、水を加えてまとめる生地のことです。
ブリゼ生地=フォンセ生地=小麦粉+塩+砂糖++バター→水
卵を加えないため、食感は固めでカリカリとしていて、生地は水分が少なく乾燥していて、軽くなります。加える砂糖も少なめなため、甘味もあまりついていません。
ブリゼ生地(Pâte brisée)はフォンセ生地(Pâte à foncer)ともいい、ブリゼ(brisée)とは「砕ける・壊れる」という意味で、タルトやキッシュなどに敷き込んで使うことが多いため「敷き込む」を意味するパッタ・フォンセ(フォンセ生地 Pâte à foncer)ともいいます。
シュクレ生地とサブレ生地の違い
上記のそれぞれの生地の違いをみると、シュクレ生地とサブレ生地の材料は同じで食感が少し異なることが分かります。
シュクレ生地は水分を油の中に閉じ込めてしまう方法をとります。ただ、水分と油は混ざらないので、まず砂糖をバターの中に混ぜ込み、その砂糖に水分(卵)を吸収させて油(バター)の中に綴じ込めます。最後に小麦粉を加え、小麦粉と水分が直接結びつかないようにします。
サブレ生地はまず小麦粉をバターで覆います。バターを小麦粉でこすり合わせるようにして混ぜ、バターの粒と小麦粉をまぜあわせ、そのあとに水分を加えます。こうすると、水分と小麦粉が直接くっつきません。粉で油を覆うことで、小麦粉と水分を結びつけるのを防ぎます。
では、なぜ小麦粉と水分が直接結びついてはいけないのでしょうか?
それは小麦粉に含まれているグルテンに関係しています。小麦粉と水分が直接つなぎ合わせて、練るとねばねばとしていて弾力性のある物質がでてきます。これがグルテンです。グルテンが発生すると生地に粘りや弾力性が出てきて、焼くと生地が固くなり、口どけが悪くなります。
よって、タルト生地をつくる際にはなるべくグルテンを発生させずつくります。その作りかたの違いによって食感の異なる生地ができます。
タルト生地の使い分け
3種類のタルト生地は中に詰めるものによって、用途が異なります。それぞれの生地の特徴をふまえて、タルトをつくりましょう。
シュクレ生地に適しているタルト
シュクレ生地は生地に甘味がついていてもろい生地です。生地だけを空焼きして、ガナッシュや生フルーツを詰めて冷やしたタルト、アーモンドクリームなどと一緒に焼いたタルトなどに適しています。
- タルト・オ・ショコラ
- タルト・アマンディン
- タルト・ブルダルー
- タルト・オ・シトロン(レモンタルト)
- タルト・オ・フレーズ(いちごタルト)
サブレ生地に適しているタルト
サブレ生地もシュクレ生地と同様なタルトに用います。よりサクサクとした食感のタルトにしたい場合に適しています。
- タルト・オ・ポム(りんごタルト)
- タルト・アマンディン
- タルト・ブルダルー
- タルト・オ・フリュイ(フルーツタルト)
ブリゼ(フォンセ)生地に適しているタルト
ブリゼ生地は固く水分が少ないため、卵や牛乳でつくった液体を流して焼くこともできます。また、甘味がほとんどついていないため、キッシュなど料理のタルトに用います。昔ながらのタルトに用いられることのある生地です。
- タルト・ノルマンド(りんごのノルマンディー風タルト)
- タルト・アルザシエンヌ(アルザス風タルト)
- タルト・オ・ポム(りんごタルト)
- フラン
- キッシュ
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